嬢の事件簿

生産性のない日常事件簿

事件ファイル12:夏のお嬢さん

蝉がうるさすぎて新聞コラム文体のブログを書いてしまいました。蝉への鎮魂歌です。もちろんレクイエムって読みますよ。ミーンミーン。

 

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『やがて死ぬ けしきは見えず 蝉の声』

▶︎たった17文字、されど17文字。死とはかけ離れた勢いで鳴く蝉も、わずか1週間後には死に直面する。無常を鮮やかに魅せる芭蕉の才能に感銘を受けつつ日本語の美しさを五感で感じる。窓の外では古来の人々に思いを託された蝉が命を燃やして鳴いている。▶︎2011年に公開された「八日目の蝉」という作品がある。小豆島を舞台に母性をテーマとして描かれた作品だ。映画が公開された当時、13歳の中学1年生だった。心のどこかでまだまだ子供でいられると安心しきっていた時、親友がタイトルを見て「切ないね」と発した。▶︎ショックと一言で言うには複雑すぎる感情と焦燥感。「八日目の蝉」という単語から「切ない」という言葉を連想した性別も歳も変わらない同い年の少女に嫉妬したと言う方が正確かもしれない。▶︎今年も例年にもれず猛暑の日々が続く。暑さに負けず、自らの感性を研ぎ澄まし何かしらに還元したいと思いつつ種も気にせずスイカを頬張る。窓の外の蝉の鳴き声が小言に聞こえた。